競馬人物誌

剣道着の男の巻

(秋華賞のファインモーション号)
私が小倉競馬場に通っていた頃の話である。隣のすぐそばに北九州大学がある。
我が母校でもあるのですが、体育館の中に剣道着姿で練習する姿を良く見かけた
ものです。そこの練習生か師範かは判りませんが、この人が競馬場にもちょくちょ
くそのままの姿で遊びに来ていた。まあ、さすがにお面は付けていませんが。

我々のように朝1番から来る訳でなく、メーンレースに近い頃から顔を出す。勿論朝
から来たくても、稽古があるので仕方がないのでしょう。しかし、この姿ではやはり
競馬場の中では目立つ存在ではあります。
あまり馬券は派手な方ではなく、単勝、複勝で勝負している風でした。この人も興奮
すると声が出るタイプで、良く「メーン、メンメン!」なんて剣道そのものの応援で回り
の度肝を抜いていました。ここに登場する人物は変人?、奇人?ばかりですが、この
人も充分にその資格ありの好人物でした。
馬券が見事に的中しようものなら、これまた九州弁で「それでヨカと!」と満足気。
残念ながら最後まで言葉を交わすことはありませんでしたが、話をしたらきっともっと
面白いエピソードが聞けたと思うのです。それが心残りではあります。


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