競馬人物誌
差せのオヤジの巻
(秋華賞のファインモーション号)
このオヤジも八幡ウインズの常連である。第1レースの30分前には到着し必ず朝の
コーヒーを注文している。物静かなオヤジのように見えるが、突然差せ!とか叫び出し
それが万馬券だったりするのである。しかし、めったには当たらないようである。
馬券を買うまでに時間のかかるタイプであり、レース毎にオッズと睨めっこしている。
良く人に何を買うのか聞かれているので、人のいいオヤジであろう。
ある日の中京競馬で、突然例の「差せ!」が飛び出した。しかし、なかなか狙った馬が
人気馬を差そうとしているが差せない。もう一度「差せ!」まだ差せない、もうゴール
は目の前だ。さらに「差せ〜!」3度目の差せで本当に差し切ったのである。
そのレースは万馬券ではなかったが、万馬券に近い配当だったように思う。これ以後に
差せのオヤジと呼ばれるようになったらしい。
馬券は徹底した大穴狙いで、買っているいる馬券は殆どが万馬券らしい。だからめった
には取れないようだ。
こ人は馬券が取れなくても騎手をなじったり、悪態をついたりはしない。むしろ、競走馬に対しては優しい目で観戦しているようである。
自分が狙った馬が、後方のまま入線したのをスロービデオで確認したこの差せのオヤジ
の一言が胸を打つ。「そんなとこで、もがいとったんね〜」
馬券は取れなくてもこの位ゆとりのある態度で、競馬に参加したいものである。
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